お雛様を飾るときに、案外悩んでしまうのは、
左右どちらに男雛を飾って、どちらに女雛を飾るのか?
ということではないでしょうか?
左右のどちらにお殿様を飾り、どちらにお姫様を飾るのか、考察するために、
お雛様の古来の飾り方と現在の飾り方、変わったきっかけについてご紹介します。
お雛様の古来の飾り方は?
お雛様は、男雛と女雛の左右どちらに飾るのが基本なのでしょうか?
昭和時代までは向かって右に男雛を飾るものでした。
日本は古来から男性が左に、女性が右に並ぶのが基本でした。
見る側からは、向かって右が男性で、向かって左が女性です。
この決まりは、日本で陰陽道(おんみょうどう)として進化した、
古代中国の陰陽五行説の陰陽説からから来ています。
陰陽説では、様々なものを陰と陽に分けて考えました。
太陽は陽、月はまたの名を太陰と言って陰、
性別は、男が陽、女が陰、左右は左が陽で右が陰です。
つまり、陽のものは左ですので、男性が左、
つまり向かって右が男性ということだったのです。
ちなみに、陰陽は、善悪、優劣、主従という価値基準とは無関係なので、
勘違いしないようにしてくださいね。
お雛様の現代の飾り方は?
今でも京都を中心とした関西・西日本地域では、
男雛を向かって右に、女雛を向かって左に飾っています。
しかし現在は、男雛を向かって左に、女雛を向かって右に
飾る方法がかなり広まっています。
これはどうしてなのでしょうか?
男雛と女雛の飾り方を、左右反対にするきっかけは、
昭和天皇の即位の礼であると言われています。
即位の礼の際に、昭和天皇と皇后さまは、
国際儀礼(プロトコール)にならった並び方をしました。
国際儀礼では、男性が右、女性が左です。
見る側からいうと、向かって左が男性で、向かって右が女性です。
昭和天皇は向かって左、皇后さまは向かって右に並びました。
それを見た人形メーカーが小売店に
お雛様の並びを変えるように指示したと言われています。
東京から、関東へ、さらに全国へ広まったというわけです。
お雛様の飾り方を左右した国際儀礼って何?
国際儀礼では右上位という考え方があります。
例えば、海外の首脳が来日した際には、
相手国の国旗を、日の丸の右側、つまり向かって左側に掲げます。
相手を立てて右側にするというものです。
男性と女性の場合は、上位下位というよりも、
古代ヨーロッパからの騎士道精神が関係あると言われています。
男性が右に立って、右手にサーベルをもち、
女性を守るという意味があるのです。
とてもロマンチックですね。
現代の結婚式も、右(向かって左)に新郎、
左(向かって右)に新婦が並びます。
お雛様の並び方も、現代風になったというわけです。
まとめ
お雛様の飾り方の左右の位置ですが、
- 日本古来の飾り方は、男雛が向かって右、女雛が向かって左
- 現代の飾り方は、男雛が向かって左、女雛が向かって右
- どちらが正しいというわけではなく、住んでいる地方・出身のしきたりに合わせればよい
というまとめになります。